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2006年8月1日
経営センサー7・8月号 2006 No.84

■経済・産業

サービス・サイエンスの出現 -製造業における展開-

日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所 部長 理学博士 日高 一義 日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所 次長 澤谷 由里子 日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所 主任研究員 理学博士 中村 英史

【要点(Point)】
(1)サービス・サイエンスが提唱されてから2年が経過し、大学ではサービスを科学の対象として、産業界では企業戦略として捉え始めている。
(2)製品からサービスへとビジネスの重心が移っているIT産業は、効率的なサービス提供のための課題に取り組んでいる。
(3)現在の製造業においてもプロセスのコンポーネント化によるサービス業務のイノベーションが重要になってきている。

企業行動の変化がもたらした長寿景気 -現時点ではバブル再燃懸念なし-

産業経済調査部長 チーフ・エコノミスト 増田 貴司

【要点(Point)】
(1)日本企業は設備、雇用、債務の「三つの過剰」の解消にめどをつけ、攻めの経営に転じている。
(2)景気循環局面から言えば、楽観的な見通しと潤沢なキャッシュフローを背景に、企業の設備投資や雇用が過大に積み上がり、それが次なる不況の芽となることを警戒しなければならない時期である。
(3)しかし、現時点では日本経済にその心配はない。なぜなら、日本企業の行動はバブル期とは変質しているからだ。すなわち、設備投資面では、横並びの規模拡大ではなく、自社の強みを構築するための選別投資が行われ、雇用面では、社員を厳しい目で選別するようになっている。
(4)こうした企業行動の変化ゆえに今回の景気は過熱しにくく、このことが戦後最長のいざなぎ景気に迫る持続力をもつ原因となっている。
(5)業績好調下でも選別的・重点的な投資行動が維持されている理由としては、(1)バブル期の失敗の教訓、(2)中国経済の台頭とグローバル競争の激化、の2 点が挙げられる。
(6)「いざなぎ超え」論争には、企業や家計に「楽観の錯誤」を生じさせる恐れがあるという弊害がある。

PDF : 詳細(PDF:480KB)

携帯電話業界 -契約者数頭打ち。番号ポータビリティー制度で業界地図はどう変わるか-

産業経済調査部 産業アナリスト 永井 知美

【要点(Point)】
(1)日本の携帯電話市場は、1990年代後半以降急成長を遂げたが、人口普及率が7割超に達し、契約者数は頭打ちになっている。
(2)携帯電話業界にとって2006年は変化の年である。11月1日までに導入される番号ポータビリティー制度で、契約者の一部が動く可能性がある。
(3)成熟段階に入った携帯電話業界では、「おサイフケータイ」など金融・決済分野への進出、コンテンツ・メディア収入の拡大を目指す動きなど、新たな収益源獲得の模索が始まっている。

PDF : 詳細(PDF:389KB)

■視点・論点

技術移転のビジネス戦略

元株式会社東芝 専務取締役 東京大学ものづくり経営研究センター 特任研究員 和久本 芳彦

 戦後の産業復興期から先端的産業国家へ、日本が発展してゆく過程で、国際契約、海外投資、合弁企業、アライアンスといった仕事に会社生活の過半を費やしてきた。戦後日本の電機産業が歩んできた道を振り返りながら、現在の企業経営にとって重要な課題である無形資産の運用について、比較的把握し易い知的財産のライセンスを例にその功罪と戦略的発想の必要性に関する所感を述べたい。 

■マネジメント

グローバル企業・トップインタビュー 変化する日本市場 ―成功する外資系企業のトップから学ぶ

第四回ABB株式会社 ABB株式会社 代表取締役社長 鈴木 勇氏

-まずABB という社名の意味からお伺いしたい。 鈴木:ABB は1988 年にスウェーデンのアセア社、スイスのブラウン・ボベリ社の50、50の合弁会社として誕生しました。その頭文字、アセアのAと、ブラウン・ボベリのBBをとって、ABBという社名にしたといういきさつです。

アジアビジネスを成功させる人材戦略とマネジメント

株式会社アジソン 代表取締役社長 相原 滋弘

【要点(Point)】
(1)アジア進出する日系企業にはコミュニケーション問題、人材不足、人材の定着率の悪さ、現地化の遅れなどの問題点がある。
(2)現地化を図るためにはローカル社員に分かる報酬制度やキャリアアップの機会を設け、愛情を持ってコミュニケーションしていく必要がある。
(3)在日中国人材やシニア人材も含め、国境を越える人材を適材適所に提供していくことがこれからのグローバル企業には必要である。

中国多国籍企業の国際マーケティング戦略 第3回 -中国企業の国際マーケティング戦略-

清華大学経営管理学院 市場調査系 助教授 胡 左浩 鹿児島国際大学付属地域創生学科 助教授 康上 賢淑

 本論は、中国最大の家電メーカー海爾(ハイアール)グループ、2番目に大きい家電メーカーTCLグループ、国産携帯電話の最大企業波導(バード)企業の国際マーケティングについて3回に分けて考察する、第3回目である。  第1回では、中国企業の国際マーケティング展開の背景と動機に加え、国際マーケティング展開自体の重要性について、第2回目では中国企業の国際市場選択と進入戦略について、三社を事例にそれぞれの特徴を分析し、中国企業が国際マーケティングを展開した動機、海外市場選択の方法と、戦略、またそれらにみられる特徴について明らかにした。3回目である今号では、中国企業の国際マーケティング戦略について、三社の具体的事例をみながら三つの特徴にまとめる。

■人材

100-1=0だから、当然1=100である!? -私はこの世に自分を見に来た。だから私は働く。-

元IBMビジネスコンサルティングサービス社 理事 権八 成樹

【要点(Point)】
(1)今、顧客がもっとも求めている<顧客価値>は、「顧客感動(ディライテッド・クライアント)」と「顧客変革(クライアント・トランスフォーメーション)」である。
(2)それを提供するには、社員みずからが熱い「想い(アンビション)」を抱いていなければならない。さらに、その源泉はそれぞれの「自尊(インディビデュアル)」の心意気である。そして、このふたつこそが<社員価値>である。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード ・「所得格差」 ・ 「BCP(事業継続計画)」

■お薦め名著

『ロングセラー・デザイン』 -常に更新されるデザインから人びとに生活スタイルを与えるデザインへ-

コロナ・ブックス編集部 編

■ズーム・アイ

現場主義のススメ

産業経済調査部 増田 貴司

 「現場」と聞いて皆様は何の現場を想像されるでしょうか。技術者なら開発の現場、営業マンならセールスの現場、推理小説マニアなら殺人現場を思い浮かべるかもしれません。  現場の重要さを実感させられる身近な例の一つに、人気映画『踊る大捜査線』の中で織田裕二扮する青島刑事が叫んだ有名なセリフがあります。「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きてるんだ!」これは多くの人々の共感を呼び、記憶に残る名セリフとなりましたが、それはこの言葉が多くの組織人が直面する「情報不足の本部と権限を持たない現場の壁」を鋭く指摘し、現場主義の大切さを訴えるメッセージ性を持っていたためだと思います。

■今月のピックアップちゃーと

インターネットも「ケータイ」で ~移動端末からのインターネット利用者数がパソコンからの利用者数を初めて逆転~

■TBRの広場

AF人の会2006のお知らせ