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2007年10月1日
経営センサー10月号 2007 No.96

■経済・産業

上海サービス業発展の特徴と展望

東レ経営研究所客員研究員 上海市商業経済研究センター主任教授 斎 暁齋

 東レ経営研究所『中国繊維ファッションビジネス研究会』客員研究員である齋先生は、中国経済の最前線にある上海市政府内で、上海市商業経済研究センター主任、上海市商業情報センター主任、教授を務めており、今回は、その活動の中でまとめた上海市のサービス業1 発展についてのレポートをご紹介します。   本レポートで、上海市の小売業を中心とした、ごく最近の商業発展の推移と現状を見ることは、拡大する中国市場を理解するうえで、大いに役立つと考えます。

貯蓄から投資への動きが加速 -リスクを再認識させた市場の動揺-

日興フィナンシャル・インテリジェンス株式会社 理事 巾村 和敏

【要点(Point)】
(1)家計の金融資産選択において、投資信託などリスク資産が急増しており、「貯蓄から投資へ」の動きが目立っている。
(2)背景には、政策的な推進効果に加え、内外株式市場の堅調な展開や円相場の軟調な推移という良好な投資環境があった。
(3)8月に起きた内外株価の下落や円相場の反転は、こうした動きに冷水を浴びせ、投資に伴うリスクを再認識させた。

グローバル化をめぐるこれだけの誤解 - 米国における反グローバルな動きについて考える-

福田 佳之 産業経済調査部 シニアエコノミスト

【要点(Point)】
(1)貿易・投資の自由化などのグローバル化が進展しているが、グローバル化の影響の見方については世界では一致していない。
(2)グローバル化の影響について、米国では理論的、実証的に研究されており、物価や賃金、雇用、格差に与える影響は限定的と見られる。
(3)にもかかわらず、米国内では反グローバルな動きが出てきており、グローバル化を経済社会諸問題の「スケープゴート」と見ている節がある。
(4)日本国内においてもグローバル化を格差拡大の原因という見方も出てきている。今こそグローバル化に関する正しい理解を共有するために議論を行うべきで、日本の経済学者はグローバル化の効果について客観的な根拠を示す必要がある。
(5)また、労働市場、制度改革と人材育成はグローバル化のメリットを享受するためにも必要であり、強力に推進しなければならない。

PDF : 詳細(PDF:422KB)

鉄鋼業界の現状と課題 -「中国」と「再編」が波乱要因-

永井 知美 産業経済調査部 産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)世界の鉄鋼需要は、中国等新興国の需要急増と世界同時好況を背景に順調に拡大している。日本の大手鉄鋼メーカーの業績も、得意とする高級鋼需要増大を受け好調である。
(2)足元は好調の鉄鋼業界も、1973年のオイルショック以降、長い需要不振期があった。日本の鉄鋼メーカーは、リストラや業界再編、高級鋼への注力で競争力を向上させた。
(3)日本の大手鉄鋼メーカーの技術は、研究開発に対する熱心な取り組み、一貫作り込みやユーザーとの連携により、世界最高水準にある。
(4)だが、日本の鉄鋼メーカーにも懸念材料はある。中国の大増産による汎用材需給緩和、世界的な業界再編の過程で買収のターゲットになる恐れがあること等である。
(5)長年「量より質」路線をとってきた日本の大手鉄鋼メーカーにも、設備投資拡大や企業連携による増産など、量的拡大の動きが見られる。

PDF : 詳細(PDF:558KB)

■視点・論点

若者よ、「自己実現」という言葉に惑わされるな

慶應義塾大学SFC 研究所キャリア・リソース・ラボラトリー 上席所員(訪問) 古畑 仁一

 何事も一般化しすぎるのは危険だし、偏見も多分にあるだろうことは承知の上で、最近の若者(特に大学生)について筆者が感ずるところを述べてみたい。 《自分の「可能性の幅」を広げよう》   「自己実現」や「やりがい」を求めてさまよい歩く若者がいる。歩ければまだいいほうで、「自分らしさ」や「天職探し」ばかりしていて、一歩も前に踏み出せない若者たちもいる。彼らは、「これしかない……自分探し」で土壷(どつぼ)にはまり、ニッチもサッチもいかなくなっている。

■マネジメント

グローバル企業・トップインタビュー 変化する日本市場-成功する外資系企業のトップから学ぶ 第九回ブルーコートシステムズ株式会社

ブルーコートシステムズ株式会社 代表取締役社長 河田 英典氏

-御社のビジネスは、Web 通信の高速、効率化、安全性の向上に資するためのソリューションの提供ということですが、かみくだいた説明をいただけませんか。 河田:今日、企業で仕事をする上で、インターネットは不可欠になりました。皆さん電子メールについては、セキュリティーとか、高速化ということに関心をもたれるのですが、ホームページについては、それ程でもないようです。しかし、インターネットは、ホームページと電子メール、2つを基幹として成り立っています。

中国労働契約法の意義を考える

浦上アジア経営研究所 代表 浦上 清

【要点(Point)】
(1)2007年6月、中国で労働契約法が制定された。この法律の立法過程では公聴活動が行われるなど、立法作業は慎重な姿勢で進められた。
(2)中国の飛躍的な経済拡大の背後には、農村出身の出稼ぎ労働者など社会的弱者としての労働者の存在がある。中国の労働契約法はこのような労働者の合法的な権益を守り、良好な労働関係の秩序を構築することを大きな目的として制定された。
(3)労働契約法は2008年1月1日に施行される。この機会に、中国で事業を行う日本企業も、人事労務の領域で新しい法律に基づく実務対応の強化を図ると同時に、人材戦略を見直し、新しい時代への対応を行うべきである。

■人材

上級MOT短期集中研修「戦略的技術マネジメント研修」について(第7回) -マーケティング 技術とビジネスに橋を架ける-

東洋学園大学教授 井原久光氏インタビュー インタビュアー:MOT チーフディレクター 宮木宏尚 取材・写真:フリーランス・ライター 山崎阿弥

【要点(Point)】
(1)マーケティングの役割は、技術とビジネスの橋渡し。既存の商品を売る技術であるセリング(販売)と違い、マーケティングはシーズとニーズを結び付けて商品を創造するイノベーション。この点で、マーケティングはMOTの理念に通じる。
(2)プロダクトアウト(既存製品の売り込み)とシーズ型開発は違う。シーズとニーズを結び付けることによって、イノベーションが生れる。
(3)イノベーションはセレンディピティーによることが多く、直観的なものであるが、これも偶発的なものではなく、経験の暗黙知がベースになっている。直観力を鍛えるには、興味の範囲を広げたくさんの引き出しを持つこと、常に考え続けること(常念性)が重要。
(4)良いモノを作ると、作り続ける責任が生じる。

PDF : 詳細(PDF:434KB)

気付きから学びへ -東レ経営研究所 人材開発の現場から-(第12回) 小学生の算数に見る「論理的思考力」

酒巻洋行 特別研究員

 小学校の授業時間数が30年ぶりに増加することが検討されている。国語や算数などの5教科の授業時間数が約1割増え、「ゆとり教育」を目指してきた現行の指導要領に真っ向からの反対になる。2002年度に週5日制になり、生徒の「学力低下」が問題視されているが、一方で中学受験は過熱し、今春の首都圏の受験生は過去最高の52,000人(前年比10%増)で、6人に1人が中学受験をした。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード ・「レアメタル」 ・「ジェネリック医薬品」

■お薦め名著

『テレビCM崩壊』 -メディアは変われるのか?-

Joseph Jaffe 著 織田浩一 監修 西脇千賀子・水野さより 訳

■ズーム・アイ

大学の一芸入試

産業技術調査部 馬田 芳直

■今月のピックアップちゃーと

子供は減るのに大学増える

■TBRの広場

レポート集 『日本のものづくりの底力を問う』を発行しました