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2006年5月1日
経営センサー5月号 2006 No.82

■経済・産業

「世界の工場=中国」で進む「中国独自技術」の動きとジレンマ

九州大学アジア総合政策センター 教授 国吉 澄夫

【要点(Point)】
(1)3月に開催された中国の全国人民代表大会(全人代)の政府活動報告や採択された第11 次五カ年計画(2006 年~ 2010 年)で、経済構造調整の重要な項目として「自主創新能力」(自主革新能力)が強調された。中核となる技術を外資に依存してきた状態を脱却し、「産業機構と技術のレベルアップに力を入れる」として、「独自の知的財産権を持つ技術・製品と標準の形成」を重視する政策がこれまで以上に加速される見通しである。
(2)「世界の工場」と呼ばれ、産業集積が進んでいるといわれる中国の電子産業であるが、実態はコア技術を持たず、「組立て加工」が中心である。「自主創新」を促進するために、政府は「中国独自技術」化を各分野で推し進めているが、ジレンマにもぶつかっている。
(3)また、背景に外資の利用を巡る議論が再燃する気配があり、注意も必要。

シリーズ:製造業の現場は今(7) 戦略的連携による新製品・新事業開発のポイント ―地域における企業連携の成功事例に学ぶ

増田 貴司 産業経済調査部長 チーフ・エコノミスト

【要点(Point)】
(1)最近、産業界の様々な場面で企業連携が活発に行われている。この背景には、地域の企業同士が新たなネットワークを構築し、連携しながら持てる技術や技能を活かすアプローチが企業や産業の競争力強化や地域経済の再生に有効であるとの認識が深まっていることがある。
(2)本稿では、地域の大企業と中小企業が連携することにより新製品・新規事業開発で成果をあげている事例として、(1)愛媛県で相次ぐ地縁による企業連携の事例、(2)北陸の繊維関連企業の連携による新規事業創出の事例、を取り上げ、これらのケーススタディを通じて戦略的な企業連携推進のポイントを考察してみた。
(3)企業連携で成果を出すためのポイントとしては、企業トップの連携への熱意、連携ビジョンの共有と明確な技術戦略・事業化構想、筋の良いテーマを選ぶ目利き力、大企業の地域連携への参画、などを指摘することができる。

PDF : 詳細(PDF:626KB)

岐路に立つコンビニ業界、新たな成長の原動力は見つかるか

永井 知美 産業経済調査部 産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)コンビニ業界は、90年代後半、多くの小売業態が低迷した時期にも破竹の勢いで売上を伸ばしていったが、ここへきて成長が頭打ちになっている。
(2)成長鈍化の背景には、相次ぐ出店によるコンビニ同士の競争激化に加え、24 時間営業スーパー、ドラッグストアなど他業態との競合もある。
(3)業界環境が厳しさを増す中、大手コンビニは、健康志向コンビニや生鮮コンビニなどの新業態コンビニ開発、アジアを中心とした海外進出などを進めている。

PDF : 詳細(PDF:354KB)

■視点・論点

なくならない企業不祥事

海外活動支援ネット 理事 危機管理アドバイザー 柴田 信之

 企業の不祥事が後を絶たない。企業のクライシスマネージメント(危機管理)は、テロや誘拐、買収など外的要因に備えることだけが対象ではない。企業活動に影響を与えるあらゆる事象が対象で、当然「不祥事」もその一つである。  企業幹部は、世論の「社会制度」や「信頼性」に対する見方に変化が起きている中で、不祥事が発生すれば自社の“信頼と評価”を一瞬にしてなくし、企業経営そのものを危うくすることを十分に承知しながらも不祥事に有効な方策を講じていない。度重なる不祥事はなぜ起きるのだろうか、なぜ危機意識や対策などが徹底されないのだろうか。

■マネジメント

グローバル企業・トップインタビュー 変化する日本市場 ―成功する外資系企業のトップから学ぶ―

エムエスシーソフトウェア株式会社 アジアパシフィックオペレーションシニアヴァイスプレジデント Dr. クリストファー・センジェン氏

 - MSC ソフトウェア社の設立は1963 年と聞いております。コンピューターのソフト会社としては歴史の古い会社ですね。  センジェン: MSC ソフトウェアは確かに、最も古参のソフトウェア会社とご理解いただいて結構です。設立以来ほぼ半世紀を経ており、いろいろな産業向けのソフトウェア製品を取り扱っている企業でございます。

中国多国籍企業の国際マーケティング戦略 第1回 ―消費類電子製品の企業を事例に―

清華大学経営管理学院 市場調査系 助教授 胡 左浩 鹿児島国際大学付属地域創生学科 助教授 康上 賢淑

 本論では、中国最大の家電メーカー海爾(ハイアール)グループ、2 番目に大きい家電メーカーTCL グループ、国産携帯電話の最大企業波導(バード)企業を通じて、中国企業がなぜ国際マーケティングを展開したか、その主要動機はいったい何であったのか、どのように海外市場を選択し、戦略を立てたのか、またそれらにはどのような共通の特徴があったのかといった点を明らかにしたい。  今回から、3 回に分けて掲載し、第1 回である今号では、中国企業の国際マーケティング展開の背景と動機に加え、国際マーケティング展開自体の重要性を解明する。続いて次号第2 回では、中国企業の国際市場選択と進入戦略について、三社を事例にそれぞれの特徴を分析し、最終である第3 回では、中国企業の国際マーケティング戦略について、三社の具体的事例をみながら三つの特徴にまとめている。

■人材

『自分主義』を超えて ―第一線ビジネスマンが考えた手づくり日本再生論―

日本生命保険相互会社 名古屋南支社長 加藤 賢二

【要点(Point)】
(1)このレポートは、異業種交流会「フォーラム21」(18 期生)の提言レポートをもとに出版した、同タイトルの本の中から、抜粋、加筆・修正したものである(著者名は「フォーラム21」18 期生有志からなる「チームビジネスマン」としている)。
(2)国家財政危機、人口減少と少子化・高齢化問題、社会問題、教育問題など、日本が現在抱えている危機状況を認識し、危機打開のために、どのような国家ビジョンと国のカタチを構築したら良いかを描いている。
(3)自己責任を追求する市場主義経済・自由主義経済を推進していく中でも、国民一人ひとりが社会のため、国家のために貢献する姿勢(『脱・自分主義』)を持ち、「政」・「官」・「民」がトータルで改革を進めていくことが重要と説いている。

PDF : 詳細(PDF:556KB)

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード ・企業防衛策 ・ワーク・ライフ・バランス

■お薦め名著

『美しくなければならない』  -アインシュタインは偉大な科学者であり芸術家でもあった-

グレアム・ファーメロ 編著 / 斉藤隆央 訳

■ズーム・アイ

エコノミストと二千円札

福田 佳之

 エコノミスト稼業を続けていて、よく人から言われることがある。「資産運用はお得意でしょうね」とか、「どの株が儲かりますか」という類のコメント・質問である。残念ながら、これまでエコノミストを続けてきたが、大金とは無縁の人生を過ごしている。同業者を見渡しても、自らの経済知識をうまく活用して金を儲けたと言う話を聞いたことが無く、むしろバブル崩壊で手ひどい失敗を被ったという話の方が多い。経済学者も貧乏な人間が多いようだ。

■今月のピックアップちゃーと

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■TBRの広場

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