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2007年9月1日
シリコンバレーは日本車だらけ
チーフアナリスト
永井 知美

 2007年7月、米新車販売台数における日本メーカー8社のシェア(合計)が39.2%と過去最高を記録した。最近、米新車販売は全体では不振だが、日本車に対する需要は底堅い。やっぱり、というのが正直な感想である。約1 年前に訪れた米カリフォルニア州シリコンバレー付近を走るフリーウェイも、日本車が多かった。  トヨタ、ホンダ、ホンダ、トヨタ、日産、マツダ、三菱…。シリコンバレー付近のフリーウェイでは、走行車両の約7~8割が日本車と思われた。周囲の景色やドライバーの顔を見なければ、「首都高」と言われても違和感はない。  中でも印象的だったのは、レクサスの存在感である。シリコンバレー付近は高学歴・高所得者層が多いと推察され、高級車比率が高かったが、レクサスはベンツやBMWと同等、あるいはそれ以上の台数が走っていた。カリフォルニア州、特にサンフランシスコ近辺は先進的な気風で知られ、良いものをどんどん取り入れる姿勢が強いと言われる。シリコンバレーのように成功者が多い地域で目の当たりにした風景に、日本車の勢いを感じさせられた。   ところで、日本車の長所は何だろうか。燃費が良い、故障が少ない等いろいろあるだろうが、日本車の良さ、というより米国車の問題を思い知らされた出来事があった。   そもそも昨年米国に行ったのは、サンフランシスコの東部に位置し、米国の国立公園の中でも高い人気を誇るヨセミテ国立公園を訪れるためだった。だが、予想以上の景観に大いに満足して帰路に着いたところに落とし穴が待っていた。  昨夏のカリフォルニアは例年にない猛暑で、滞在中、内陸部の気温は連日のように40℃を超えていた。ヨセミテからサンフランシスコに向かうには、この猛暑の内陸部を4時間半かけて横断しなければならない。  サンフランシスコを目指す日本人ツアー客が乗せられたのは、白い米国製中型バスだった。ヨセミテは気温30℃以上、途中は気温40℃以上の猛暑地帯。ところが、驚くなかれ、バスの日本人ドライバーは、ヨセミテを出発して間もなく「エンストするといけないから、エアコン切ります」と宣言したのである。ドライバー氏によれば、坂道が続くのに、暑いからと無理してエアコンをつけ、立ち往生したバスも少なくないとのこと。辺り人家もまれな田舎で、そのような状況には陥りたくなかったが、エアコンを切られた車内は気温が一気に上昇、さながら修行の場と化した。暑い、とにかく暑い。日本人の私としては、「暑い時につけられなくて、何のためのエアコンなのか」という考えが脳裏をよぎったが、ドライバー氏は「この手のバスは日本のメーカーが作っていないからお手上げだね」と繰り返すのみだった。  だが、坂道といっても箱根や日光のように急峻ではなく、本当に緩やかな上り下りがだらだらと続くに過ぎない。暑い日に緩やかな坂道でエアコンをつけて走るというのは、そんなに高度な技術を要するものなのだろうか。技術者でない私にはよく分からないが、その後この分野に日本メーカーが進出したかどうか、ぜひとも知りたいものである。