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2006年9月1日
経営センサー9月号 2006 No.85

■経済・産業

インド経済の光と影 -社会主義との決別とヒンドゥー教の桎梏-

伊藤忠商事株式会社 調査情報室 チーフエコノミスト 北井義久

【要点(Point)】
(1)91年の外貨危機をきっかけとして国家が破産寸前に追い込まれたことで、本格的な経済改革が始まり、インドは様変わりした。
(2)高い成長率を支える牽引役として、まず住宅投資ブームが目立つ。次に、自動車・家電製品などの耐久消費財需要も好調である。また、企業向けサービスも有力な「輸出商品」に育っている。
(3)着実にそのパフォーマンスを好転しつつあるインド経済だが、女性に対する差別やカースト制度の存在により、中国のような高成長を達成する可能性は低い。

シリーズ:製造業の現場は今(8) 環境と経済の両立を目指す新たな環境ビジネスとは -モノの販売からサービスの提供に力点を移したビジネスモデルの出現-

福田佳之 産業経済調査部 シニアエコノミスト

【要点(Point)】
(1)最近、企業の環境問題への意識が高まる中で、これまで製品として販売していたものをリースやレンタルなどでサービス化して機能を提供する「サービサイジング」事業に環境負荷軽減効果があるとして世界で関心が集まっている。
(2)本稿では、環境負荷軽減に有効な「グリーン・サービサイジング」事業の例として、蛍光管の照明機能を提供する松下電工株式会社「あかり安心サービス1」と繰り返し使用が可能な梱包材を使った物流サービスを営むスターウェイ株式会社「環境デリバリーパック1」の二つを取り上げ、紹介、分析する。
(3)両事業が成功した理由には、企業の環境配慮意識の高まりに加えて、バリューチェーンの再構築による差別化が挙げられる。
(4)環境負荷軽減のための取り組みはコストアップになりがちだが、上のようなビジネスを活用することでユーザー企業は環境負荷軽減とコスト削減を両立させることができる。
(5)これらのビジネスの課題として、質の高いサービス供給を維持することとその質の高さをどのようにして潜在的なユーザー企業に伝えるかということが挙げられる。
(6)企業向けではなく消費者向けのグリーン・サービサイジング事業は、インフラ作りの難しさ等から採算に合わず実施される見込みは低い。

PDF : 詳細(PDF:825KB)

生分解性高分子の価値

大島桂典 研究理事

【要点(Point)】
(1)合成高分子の廃棄物による環境汚染等が要因になって多くの生分解性高分子が研究開発され、具体的活用が進んでいるが、その進展は意外に遅延している。
(2)生分解性高分子の飛躍を阻害している要因は、既存の合成高分子対比の特性不良と高価格にある。
(3)近年の石油価格の上昇は、それ自体が産業や社会に大きな影響を及ぼしているが、化石資源を原材料とせずに、糖質(植物)資源を原材料とする生分解性高分子には、生分解の他に現世代資源活用の大きな特徴があり、具体化を急進させる期待がある。
(4)生分解性高分子が端緒となって、現世代資源活用による化石資源活用の低減や、物質や資源の蓄積も夢ではない。

PDF : 詳細(PDF:344KB)

■視点・論点

神童ドラッカーの足跡 -万人のための帝王学を求めて-

ものつくり大学名誉教授 立命館大学客員教授 ドラッカー学会代表 上田惇生

 神童とはどのような者か。その神童が、古典を読み尽くし、それぞれの時代の知性と出会い、政治、経済、社会の最先端の動きに目を凝らし、筆を振るって、96年間を生き抜いたとき、いかなる足跡となるか。  ピーター・F・ドラッカーの場合、それはマネジメントを発明し、ポストモダンの旗手として、文明を更に一歩進めるために、万人のための帝王学を用意することだった。  一番幼いときの思い出が、ハプスブルク家最後の帝国オーストリア・ハンガリー帝国の貿易省高官だった父親と、後のチェコスロバキア大統領トーマシュ・マサリクとの会話、「これは帝国の終わりなどということでなく、文明の終わりということだね」だった。1909年ウィーン生まれのドラッカー、4 歳のときだった。その数週前、ハプスブルクの皇太子フランツ・フェルディナンドがサラエボで撃たれて第一次世界大戦が始まっていた。

■マネジメント

グローバル企業・トップインタビュー 変化する日本市場-成功する外資系企業のトップから学ぶ

第五回 アストラゼネカ株式会社 アストラゼネカ株式会社代表取締役社長加藤益弘氏

-まず、会社の成り立ちについてお話しいただきたい。 加藤 : 2000年1月に、日本ではアストラ社とゼネカ社が合併して、アストラゼネカ株式会社が誕生しました。グローバルでは、両社は1999年に合併しています。両社とも1950年代に、日本でジョイントベンチャーによりそれぞれ組織を立ち上げています。アストラ社は藤沢薬品工業と、ゼネカ社は住友化学工業との合弁です。合併前はそれぞれ業界で60位台、20 位台の売上の両社でしたが、合併で21位となりました。それが今年5月の単月の売りでは11位を記録することができました。

中国における制度会計及び税務会計並びに税効果会計について

望月コンサルティング(上海)有限公司董事長公認会計士 望月一央 望月コンサルティング(上海)有限公司パートナー公認会計士 川嶋広之

【要点(Point)】
(1)中国において会計制度の改定が進んでおり、今後外商投資企業にも適用が行われる。
(2)中国においても制度会計と税務会計の差異は少しずつ広がりつつある。
(3)今後、中国における外商投資企業についても税効果会計が全面的に適用されることが予想されている。

■人材

ソリューションセールスのすすめ

Initiative & Solutions, Inc 代表 組織・人財開発コンサルタント渡邉信光

【要点(Point)】
(1)ソリューション営業とは「顧客の悩みを(自社商材やサービスを中心に活用し)解決する営業」である。つまり、問題解決行為である。
(2)ソリューション営業は、問題解決行為であるので、「問題解決の基本プロセス」に準拠する必要がある。
(3)特に「情報収集(顧客に今何が起きているか)」「分析(それはなぜ起きているか)」の診断プロセスを飛ばす傾向があるので留意すべき。

気付きから学びへ -東レ経営研究所 人材開発の現場から- 第一回「ちょっと古臭い通信教育ですが……」

酒巻洋行 特別研究員

 研修のスタイルも講演会型、パソコンを介しての指導、集合研修、少数選抜研修、個別指導などさまざまである。その中で最近再び注目されているのが通信教育である。それも昔ながらの郵送による時間のかかる通信教育である。テキストと課題を受講者に郵送で送り、受講者は送られてきたテキストを読み、課題を考え、レポートを作成し、また郵送で送り返す。1カ月に1回のペースで進む。おそらく現在では最も時間と手間のかかる教育スタイルに違いない。欲しい情報はインターネットですぐ手に入る時代に逆らうかのように、忙しい日常での“スロー教育”の最たるものである。ところが、意外にこのゆっくりした教育システムが今受け入れられているのではないかという感じが強くする。 

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード ・「住宅性能表示」 ・「有機EL」

■お薦め名著

『監視社会』 -監視には一つならざる顔がある-

デイヴィッド・ライアン著 河村一郎訳

■ズーム・アイ

少子化を食い止めるでしょうか? オバサンの一声!

市場調査部 岩崎美樹

 2005年度の日本の出生率は1.25、お隣の韓国(主人の転勤で韓国駐在中に4人目の長男を出産したので気になる)は1.08 になったそうです。韓国の私と同年代の方々は、ご兄弟4~ 6人がざらでしたので、その少子化の波の激しさを感じます。  どちらの国も、いえ、先進国の大部分で、若い人が結婚したり子供を持ったりしなくなった訳が様々語られて久しいのですが…最近グループインタビューでご一緒した若い女性の発言が印象的でした。「どんなにいろんな制度等が整っていっても我々の意識そのものを変えることができなければ少子化は益々進むでしょう」というものです。なるほどTBRを見回してみても、何人もの妙齢で優秀な男性、女性(それもかなり魅力的な)が独身で大変間に合った感じで活躍しています。

■今月のピックアップちゃーと

スポーツ人気は意外に低調 ~ 参加率の低下は野球だけじゃない!~

■TBRの広場

繊維産業シンポジウム開催のお知らせ