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2009年3月1日
経営センサー3月号 2009 No.110

■経済・産業

アメリカ経済動向 -厳しい局面だが、長期化とデフレの可能性は小さい-

大和証券SMBC株式会社 金融市場調査部経済調査グループチーフエコノミスト 永井靖敏

【要点(Point)】
(1)アメリカ経済は厳しい後退局面に入る。ただ、金融緩和政策、第2次景気対策などにより年後半には回復へ。市場の見方は悲観的過ぎ。
(2)住宅価格の動向がポイントの1つ。住宅投資や住宅価格の調整は既に十分進んでおり、自律反発が期待できる状況にある。
(3)デフレを懸念する向きもあるが、アメリカが2000年代前半の日本のようにデフレに陥る可能性は小さいとみている。

東アジア経済はなぜ先進国とともに沈んだのか -「デカップリング論」を検証する- 

福田佳之 産業経済調査部 シニアエコノミスト

【要点(Point)】
(1)先進国が不況入りしてまもなく東アジア地域も景気の大幅減速ないし後退に直面した。
(2)東アジア経済を個別に見ると、先進国経済の不況入りなど外的環境の変化が同地域経済の減速に大きく影響しているが、中国やタイについてはマクロコントロールの効き過ぎや空港閉鎖など固有の要因も挙げられる。
(3)東アジア経済の不振には輸出の落ち込みによるところが大きいが、先進国向けよりも域内向けの輸出の減少が大きい。
(4)東アジア地域で対先進国よりも域内貿易のシェアが高まっており、EU域内貿易にも匹敵するレベルにまで成長している。これは東アジア地域の景気が欧米と連動しないという「デカップリング論」を産み出す根拠の一つとなった。
(5)しかし、東アジア域内貿易の増大は多国籍企業が中国を軸にして域内で工程間分業を進めた結果であり、そのために、かえって東アジア地域の輸出は域外の経済動向に左右される状況に陥った。
(6)東アジア経済の復活には域内内需の振興がカギを握る。なかでも低いレベルにある個人消費の拡大こそ重要であり、生活関連インフラなどに投資することで個人消費拡大を後押しする必要があろう。今回の世界同時不況は消費拡大を図るチャンスと見るべきだ。

PDF : 詳細(PDF:838KB)

2009年の世界の自動車販売の展望 -米国は最も厳しいが底打ちも早い。今後のリスクは欧州と新興国へ-

株式会社大和総研 企業調査第二部 シニアアナリスト 林真吾

【要点(Point)】
(1)2009年の世界の自動車販売は、500万台を超える減少となりそうである。2008年の約400万台減少より厳しい調整が予想される。
(2)地域別では、米国は現状最も厳しいが底打ちも早い一方、欧州と新興国は販売減少の余地・リスクがまだ大きいと考えられる。
(3)現在の米国自動車市場の不振は、景気後退だけでは十分に説明できない。販売金融の機能不全も大きな影響を及ぼしている。

■視点・論点

政治家のプロ意識に見る日英格差

毎日新聞 科学環境部 記者 元村有希子

■マネジメント

日中間にまたがる事業再生 -中国の対外担保規制-

あかし法律事務所 弁護士 曉 琢也

【要点(Point)】
(1)子会社である中国現地法人の持分譲渡や清算は、子会社の問題というよりも、親会社の経営悪化に起因する案件が増えている。
(2)親会社の事業を立て直すにあたって、中国現地法人が担保を提供することは、法律上可能であるが、実務上難しい。
(3)切羽詰まった状態になる前に、中国現地法人の利益を日本にきちんと還流させる事業スタイルを構築しておかなければ、親会社の事業再生は困難を極めることになる。

■人材

不況期のコア人材育成 -不況期に人材は現場で磨かれる-

石川裕子 人材開発部プランナー

【要点(Point)】
(1)不況期の人材育成は「実務経験を通して仕事の中でどう育てるか」が大切である。
(2)不況期の現場には学ぶことが多く、個人の経験から組織知にしていくことが望ましい。
(3)不況期の厳しい環境を克服した人は、新たな難局に直面するときにも、過去の経験が活きてくる。
(4)人材開発部門は研修の実施主体から、仕事を通じての学びを支援する主体に変わる必要がある。
(5)長期的視点で育成に取り組めば、人材開発部門にとって育成ノウハウの蓄積になることが期待できる。

PDF : 詳細(PDF:782KB)

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 「コンパクトシティ」 「時価会計」

■お薦め名著

『コーポレート・レピュテーション』 -「人々を魅了する評判」と「好ましくない風評」-

Charles J. Fombrun/Cees B.M.Van Riel 著 花堂靖仁 鑑訳 電通レピュテーション・プロジェクトチーム訳

■ズーム・アイ

その飛行機は飛びますか?

繊維調査部 安楽貴代美

■今月のピックアップちゃーと

「健康」と「エコ」を追い風にブレイク寸前?

■TBRの広場

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