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2006年10月1日
経営センサー10月号 2006 No.86

■経済・産業

ITトライアングルの賞味期限

日本経済新聞社 コラムニスト 西岡 幸一

【要点(Point)】
(1)世界のIT産業で抜群の競争力を持つマイクロソフト、インテル、デルコンピューターの3社がグーグル、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)、ヒューレット・パッカード(HP)の3社の台頭の前につまずきを見せている。
(2)ひとたびリーダーシップを握った企業が、経営の安全性を見込んで次のブレイクスルーよりも現状の改良に重点を置き、新興企業が抜本的な技術革新で市場に切り込んできたとき防衛できずリーダー企業が容易に交代するという、C.クリステンセン(ハーバード大教授)の言う「イノベーションのジレンマ」、に通じることが生じている。
(3)難攻不落に見えたビジネスモデルにも賞味期限があり、地上最強の企業にも必ず隙ができる。近く起こりうるITの世界動乱に、日本企業の姿が見えることを期待したい。

中国の今後のエネルギー需給見通しとエネルギー戦略の検証 -石炭・電力は供給過剰懸念、石油は戦略的に対外進出を加速-

日本貿易振興機構 アジア経済研究所 新領域研究センター 副主任研究員 堀井 伸浩

【要点(Point)】
(1)ここ数年、耳目を引いていた中国のエネルギー(石炭・電力)不足であるが、現在需給は大幅に緩和傾向を示し、数年後にはむしろ供給過剰が懸念される状況。
(2)供給過剰観測の根拠としては、従来の石炭産業・電力産業における市場経済化改革が後退し、政府が保護姿勢に転換したことで、投資ブームが発生していることである。
(3)他方、需要については、第11次五カ年計画で省エネルギー目標(GDP原単位20%削減)が掲げられ、そのための対策、制度が整備されつつあることで抑制の方向。
(4)石油については、国内生産が頭打ちであることで輸入は今後も拡大傾向。その対策として中国政府は戦略的に海外の石油・ガス資源開発プロジェクトを推し進めている。
(5)日本は中国の一気呵成の行動に焦ることなく、情勢をしっかりと分析した上で、情緒的に対処するのではなく、合理的な戦略を練る必要がある。

薄型テレビ市場の現状と展望 -急拡大する市場、とまらぬ価格下落-

永井 知美 産業経済調査部 産業アナリスト

【要点(Point)】
(1)つい数年前まで、高額品・贅沢品の印象が強かった薄型テレビは、価格の急速な下落に伴い国内外の主要市場で普及が進んでいる。
(2)市場の急拡大にもかかわらず、薄型テレビ事業の収益環境は厳しい。
(3)日本発で市場が拡大していった薄型テレビ業界には、シャープ、松下電器産業等の有力日本メーカーがあるが、海外市場ではフィリップス、サムスン電子等海外メーカーの台頭が著しい。
(4)テレビ放送のデジタル化などを背景に、薄型テレビ市場は今後も順調に拡大すると見られるが、新規参入が容易で過当競争に陥りやすい分野であるため、収益環境の厳しさに変わりはない。
(5)主要市場が海外に移ることから、海外市場でやや押され気味の日本メーカーは対応を迫られている。各社は、海外生産拠点の増強、海外市場におけるブランド向上への取り組み等に注力している。

PDF : 詳細(PDF:485KB)

■視点・論点

ーチング花盛り

慶應義塾大学SFC 研究所キャリア・リソース・ラボラトリー 上席所員(訪問) 古畑 仁一

 コーチングという言葉が色々な方面で聞かれるようになった。本屋をのぞいてみると、コーチングという題名をつけた本が沢山並んでいる。ちなみに、アマゾンで「コーチング」を検索してみたら和書だけでも300冊以上出てきた。「ビジネス」「ゴルフ」「やる気」「子育て」「生き方」から、はては「外見を良くする」コーチングまである。書籍だけではなく、新聞、雑誌、テレビなどでも頻繁にコーチングという言葉が目につき、耳にするようになった。本稿では、ビジネスの場面に焦点を当てて、なぜコーチングがこれ程までに脚光を浴びているのかを考えてみることにしたい。

■マネジメント

中国市場を見据えた事業戦略と組織の課題(1) 欧米企業のアプローチから学ぶこと

浦上アジア経営研究所 代表 浦上 清

【要点(Point)】
(1)世界のIT関連企業の中国市場開拓に拍車がかかっている。これまでのところ、欧米企業の活躍に比べて、日本企業の低迷が目立つ展開である。
(2)中国市場を見据えた事業戦略の課題に焦点を当てながら、欧米企業の市場志向ビジネスを考察することは、日本企業にとって大いに参考になる。
(3)今回は、中国で元気な欧州企業として、半導体のSTマイクロエレクトロニクスと通信のノキアを取り上げ、これら企業の事業展開を考察すると同時に、米国のグローバル巨人企業、GEにおける新しいアジア事業戦略の模索の動きをご紹介する。

■人材

ファシリテーションの威力 何を言っても許される“場と空気”の作り方

能率協会 主席理事 高野 文夫

【要点(Point)】
(1)「勝てる場所」の戦略的把握は、まず組織内で縦横に徹底的にコミュニケーションを図り、現場の知恵を余すことなく汲み上げることである。そして、その「現場知」から練り上げた戦略を、「納得知」として全員の腹に落とし込みアクションにつなげることである。そうすることで、全員が、おのずから「今何をせねばならないか」を悟り、自律的に行動の渦に巻き込まれていくはずである。そのためには思いの丈をぶつけられる、何を言っても許される“場と空気”のある会議の設定が必要である。
(2)勝つためには、全員が明確なる目的・目標を共有していること、そして頻繁に見直し会議を開いて各自のベクトル(何時までに何をすれば良いのか)を調整する。そのためには思いの丈をぶつけられる、何を言っても許される“場と空気” のある会議の設定が必要である。
(3)『ガード下の焼鳥屋』の雰囲気、それがこれからの伸びる会社の会議の姿である。それがファシリテーション型会議である。戦いへの情熱と、ロジカルな知性を武器に、自らがファシリテーター(組織内の界面活性剤役)になり、変革の中心になり渦を巻き起こす、そして皆を行動の渦に巻き込んでいく。これこそが「知行合一」を旨とする勝つリーダー、21 世紀をリードする「ファシリテーター型変革リーダー」である。

気付きから学びへ -東レ経営研究所 人材開発の現場から- 第二回 学生から見たよい企業

北原 正敏 特別研究員

 奉職している大学院の学部学生の夏季合宿ゼミに、昨年に続きお手伝いとして参加した。2年3年4年生合同で、各学年10数名計40数名のビッグゼミである。2泊3日の日程は、学年別研究、全学年による合同研究、全員による浜辺でのスイカ割りや花火大会など、うまくプログラムされていた。

PDF : 詳細(PDF:137KB)

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード ・「ワンセグ」 ・「技能五輪」

■お薦め名著

『文化としての科学/技術』 -閉鎖的科学から社会化された科学へ-

村上陽一郎 著

■ズーム・アイ

学校で教えてくれないこと

産業技術調査部 増田 真

■今月のピックアップちゃーと

「女性は髪が命?」 ~カラーリングがヘアースタイル料金を底上げ~

■TBRの広場

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