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2007年8月1日
経営センサー7・8月号 2007 No.94

ロボット技術で人を幸せにしたい -ロボット工学の異才が語るものづくりと人材育成への思い-

千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長 古田 貴之氏インタビュー

  日本は世界最高レベルのロボット技術を持ち、世界の産業用ロボットの約4割が日本で稼働しているといわれる。「工学離れ」「理科離れ」が進み、将来のものづくり基盤の危機が懸念される昨今の日本において、ロボット分野は国民の関心も高く、有望な先端技術分野の一つと目されている。   21世紀のロボット界のリーダーとして注目を集める古田氏に、ロボット研究の道に進んだ動機、未来のロボット社会とものづくりへの思い、理科離れの問題等についてお話をうかがった。

■経済・産業

「理科離れ」解消のために何が必要か -「世界一受けたい授業」だけでは、ものづくりの危機は救えない- 

産業経済調査部長 チーフ・エコノミスト 増田 貴司

【要点(Point)】
(1)理科離れとは、理科や数学に対する子どもの興味・関心・学力の低下、国民全体の科学技術知識の低下、若者の進路選択時の理工系離れと理工系学生の学力低下、これらの結果、将来の科学技術人材が育たないこと、などの問題の総称である。
(2)理科離れの底流には、若者の間での理系のイメージの悪さと、理系は文系より不遇という社会的通念の存在がある。
(3)理科離れは先進国に共通の問題であり、各国とも理科離れの阻止、科学技術人材の養成・確保に本腰を入れて取り組んでいる。
(4)日本は、科学技術を工業化に最大限に活用して高度成長を成し遂げた国だが、今日では国民の間に科学技術が国際競争力を左右するという認識が希薄である。
(5)日本がとるべき理科離れ対策で欠かせない点として、すべての国民の科学技術リテラシー向上、21世紀型の「科学する心」を芽生えさせること、理数系教育の改革、科学を文化・教養の一部にすること、「科学の演奏者」の育成、リアルな実験体験、理系の地位・待遇の向上、などの重要性を指摘した。
(6)近年、日本の理科離れ阻止に向けた官民の取り組みは着実に前進しているが、残された課題として、《1》社会における理系の地位・待遇の向上、《2》国策として息の長い時間軸で科学技術と社会をつなぐ活動を推進、の2点が挙げられる。

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こうしてイノベーションは生まれた(3) 夢、ヒラメキ、根気から生まれたイノベーション -誕生のきっかけと人材育成策-

常務理事 特別上席エコノミスト 高橋 健治

【要点(Point)】
(1)人々の夢の実現に向けて研究を進めたり、基礎技術の応用を執拗に追い求める過程から、また、日常の風景の中からヒラメキが浮かんだり、予想とは異なる結果から新製品、イノベーションが生まれることがある。
(2)サービス産業は、一般的に製造業と比較して生産性が低いが、消費者の目線に立てば、イノベーションが生まれやすい宝庫でもある。
(3)企業は、優等生的な人材を採用し育成するだけでなく、創造性、洞察力を持った人材を受け入れ、また、組織の中では、自由な研究を認めることも必要である。
(4)国には、イノベーションを起こしやすい環境整備が求められる。

PDF : 詳細(PDF:463KB)

日本半導体産業の競争力回復に向けた方策 -システムLSI 事業戦略の再構築-

日本政策投資銀行 調査部 調査役 清水 誠

【要点(Point)】
(1)日本半導体産業は汎用DRAMから撤退後、特定用途品に注力してきたが、グローバルな構造変化への対応が遅れ、競争力が低下。
(2)システムLSI事業で国際競争力を回復するためには、組織体制や人事評価の在り方を含めた企業経営の抜本的な見直しが急務。
(3)世界の潮流は、自社が得意とする分野への経営資源の集中。日本勢は国内外における相互補完関係の構築に活路を見出すべき。

■視点・論点

Globalizationの中の格差問題

日本郵船株式会社 顧問 目黒 征爾

《はじめに》   以前に本誌別稿(2004年6月号「“日本”企業の無意味化ということ」)で、「Globalizationの経済的意味は明治維新が世界的に広がるようなもの、江戸時代三百余あって、経済的に一応自足していた各藩が日本国の名の下、一大経済圏に生まれ変わり、以後の経済成長の基礎となった。同じことが世界規模で生じつつある」と書いた。只Globalizationには、光の部分も影の部分もある。

■マネジメント

中国進出企業における情報システムの活用

浦上アジア経営研究所 代表 浦上 清

【要点(Point)】
(1)中国における企業経営の高度化のために、業務の仕組みの改善と情報システムの活用が重要な課題になっている。
(2)業務の仕組みを支える情報システムは、中国における企業経営では制度の一部として重要な役割を担う。また、経営の透明性を保つという観点からも情報システムを活用した経営管理は重要である。
(3)業務の仕組みづくりと仕組みの定着化という視点を強く持つことで、情報システムが活きたものになる。業務の仕組みづくりと仕組みの定着化のためには、業務ルールの明文化と組織内での共有が大切である。

PDF : 詳細(PDF:400KB)

■人材

ファシリテーションの威力 第2回 共感のリーダーシップ

能率協会 主席理事 高野 文夫

【要点(Point)】
(1)人は好き嫌いで物事を判断し、ロジカルにではなくむしろ感性や共感に基づいて行動を起こしている。リーダーが持つべき能力として、部下やチームメンバーを共感させ、彼ら(彼女ら)の心を共振させられる感性力が大切である。“部下の心に火をつける”能力である。
(2)リーダーたるものは、戦いへの情熱とロジカルな知性を武器に、自らが変革の中心になり渦を巻き起こす。皆を行動の渦に巻き込んでゆく。自分が好きだからやっていると心から思わせ共感させるのだ。それが共感によって動く自律型組織である。
(3)部下が“嬉々として” 動くのはリーダーの方針のみならず、人格にも共感しているからである。部下を動かすためには、部下と真正面に向き合って、自ら裸になって思いの丈をぶつける。会社(チーム)は今どこに向かい、我々がすべきことは何なのかを理解し、お互いのお腹に落とし込む。共感させ、自分から“是非とも私にやらせて下さい”と言わしめるのである。
(4)リーダーが部下の心になり、部下がリーダーの心になる。肩書きも忘れ、部下でもない上司でもない自然体でお互いが一体化する。リーダーも部下も思いっきり話し合い、お互いの思いを共有する。“何を言っても許される場と空気”が確保されるために、ファシリテーションの技術を徹底的に身につけて、ファシリテーター型リーダーに自己変革することである。

上級MOT短期集中研修「戦略的技術マネジメント研修」について(第5回) 戦略的意思決定のための実践的技法とパッション ディシジョンマインド社代表 籠屋邦夫氏インタビュー

ディシジョンマインド社 代表 籠屋 邦夫氏 インタビュアー:MOTチーフディレクター 宮木 宏尚 取材・写真:フリーランス・ライター 山崎 阿弥

【要点(Point)】
(1)意思決定の質と事業価値創造の成功確率を高め、リスクを最小化するためには、実践的に使える技法のマスターが望ましい。
(2)日本企業は戦略的マネジメントに3つの弱点を抱えている。(a)戦略構想の脆弱さ(b)戦略の具体性の不足(c)パッションの欠如。社員の人生に大きな影響を与える意思決定に、トップは“腕まくり”で臨むことが必要。
(3)天才的なヒラメキだけでマネジメントはできない。適切な技法を使い、確実に解を出す素養を身に付けることが肝要。また、日頃から「直感力」を磨くことも重要。
(4)本研修の目的は、明日からの業務に使える「意思決定のための実践的な技法とパッション」の習得。

気付きから学びへ -東レ経営研究所 人材開発の現場から-(第十回) ピンチにこそ知恵が出る 

人材開発1部プランナー 釘崎 康弘

 先日東京国立博物館で、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画や直筆ノートなどを見ました。独創的な作品の数々を見て感激するのと同時に、「こんなアイデアが出せる人になれたらな…」と、思わずため息が出たのでした。もっと独創的な仕事ができたら――人材開発の現場でも、今、こういった「創造力開発」のご相談をたくさんいただいています。現場の改善から、新製品・新サービスの創造まで、今こそ知恵の勝負!といったところでしょうか。

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード ・「アフィリエイト」 ・「フラッシュメモリ」

■お薦め名著

『中国がアメリカを超える日』

テッド・C ・フィッシュマン 著 仙名紀 訳

■ズーム・アイ

ポスドク問題に関する一考察

産業技術調査部 鶴見 徹

 ここ数年来、政府系の競争的研究資金を獲得した研究プロジェクトの追跡調査を継続して行ってきている。追跡調査とは研究プロジェクトが終了して数年を経た後で、研究の継続・発展状況や研究成果の波及効果等を調査するもので、調査の一環として研究者や学識経験者の方々から直接お話を伺う機会も多い。その中で調査の本筋からはやや外れるものの、繰り返し取り上げられる話題の一つとして、「ポスドク問題」がある。

■今月のピックアップちゃーと

鉄鋼の利益率、史上初の3年連続二桁