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2014年7月1日
ベースアップ(ベア)

死語になりかけた言葉がアベノミクスで復活

 日本の春季労使交渉で決まる、給与の基本給部分に対しての昇給額または率のことで、 しばしばベアと略されます。  賃金の上昇には、定期昇給(定昇)とベースアップ(ベア)の 2 種類があり、賃金交渉 の実務上、両者は明確に区別されます。定昇は、年齢や勤続年数などに応じた給与の増加 であり、個人別賃金の制度的上昇を意味します。これに対し、ベアは、賃金テーブル(賃金 表)の書き替えによる、全員の賃金水準の底上げを意味します。  ベアは労働者にとっては、生涯賃金の増加につながり、消費者マインドの改善に寄与し ます。一方、企業側にとっては、ベアは人件費増額の増加を招くほか、一度上げた賃金を 減額する交渉は業績悪化時でも困難であるため、企業は一時金の増額に比べて、ベアの実 施には慎重になりがちです。  ベアには、かつてはインフレ率に応じて名目賃金を調整する役割もありましたが、デフ レが長期化するなか、その役割は薄れました。また、グローバル競争の激化で日本の労働 コストの高さが意識されたことや、企業間の業績格差の拡大、成果主義の賃金制度を導入 する企業の増加などを背景に一律の賃上げの根拠が乏しくなったことなどを受けて、2002 年頃以降は多くの企業でベアは見送られていました。  ところが、安倍首相の経済政策「アベノミクス」において、経済の好循環を生んでデフ レから脱却するためには家計所得の増加が不可欠であるとの考えから、政府が政労使協議 の場などで企業に賃上げを促す異例の要請を行ったことを受け、2014 年の春闘ではベアを 実施する企業が増加しました。 ベアを伴う賃上げが今後定着していくのかどうか注目されます。

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