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2010年3月1日
シゴトの仕分けで、生産性アップ!
ダイバーシティ&ワークライフバランス研究G 主任研究員
渥美 由喜

 不況で仕事が減るなか、多くの企業で残業削減が叫ばれ、見かけ上の労働時間は減少しています。 しかし実は「サービス残業」が急増しています。 労働者と企業が回答する労働時間の差を「サービス残業」と定義して、時系列推移を追ってみましょう。バブル崩壊後の1990年代後半に増加し、2000年には年400時間とピークを迎えました。 その後は、減少傾向にあり、08年には過去30 年間で最低の年339 時間となりました。それが、09年上半期には年換算で375時間ペースとなり、対前年比で11%も増加しています。特に、従業員500人以上の企業では、対前年比で32%も急増しています。  会社が具体的な業務効率の改善策を提示しないまま、ひたすら残業削減を唱えると、従業員は「賃金コストを節減したいのだろうから、サービス残業する」「遅くまで頑張っているとアピールしたほうが評価されるはずだ」とボタンの掛け違いが起きてしまいます。  以下、筆者が実践している方策をご紹介します。 筆者は官庁や自治体の会議に出席したり、研究者として企業に出向く機会が多く、あまり社内にはいません。「社内にいないのに、どうやって業務を管理しているのか」とよく聞かれます。  筆者が部下から毎日、提出してもらっている「業務進捗表」には、翌日以降の業務ごとに(1)件名(2)必要時間見込み(3)難易レベル(レベル10:日本では自分しかできない、レベル1:学生バイトでもできる)(4)実際にかかった時間など、です。  工夫している点は、3つあります。  第一に、「業務の難易度×実際にかかった時間」を「部への貢献ポイント」として、それに応じて部の売上分割をしています。例えば、「20時間×難易レベル10」「200時間×難易レベル1」という二人を同等に評価します。  第二に、見込み時間よりも早く終えた場合に節約された時間を「時間貯金」と呼び、一定レベル以上貯まった部下には、有給休暇の取得を励行しています。  第三に、組織の業務の進め方に関して、「ケチをつける」ことを励行しています。そうした業務改善の提案を「生産性向上ポイント」と呼び、難易レベルに加算しています。  前の職場で毎日、定時に帰宅していた部下は難易度の高い業務に挑戦していたので、貢献ポイントは際だって高く、それに応じて昇給しました。また、時間貯金も多く、有給休暇取得率は100%。 リフレッシュして業務に復帰するので、さらに生産性が上がるという好循環。彼女は、自分の業務を早く終えたら、同僚の仕事を手伝うので、みな感謝していました。こうした身近な模範が刺激となって、部下は競って業務の密度を高め合い、部の生産性も大幅に向上していきました。  職種ごとに業務内容も異なるため、同じ手法では難しいかもしれません。しかし今後は、上司が具体的なワークライフバランス・マネジメントの手法を学び、取り組むインセンティブを従業員に与える施策が必要ではないでしょうか。