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2017年4月28日
経営センサー4月号 2017 No.191

■今月のピックアップちゃーと

日本の人材競争力は世界22位に後退 ~弱点は人材を惹きつける魅力の乏しさ~

産業経済調査部門

■経済・産業

国家改革を進めるサウディアラビアの行方

独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 調査部エネルギー資源調査課 調査役 濱田 秀明

【要点】
(1)
3月に46年ぶりにサウディ国王が来日された。
(2)
サウディでは初代国王の子に当たる第二世代の国王の下、若き王子に王国の経営を委ねて改革を進めている。
(3)
これまで以上に日本の経済進出できる領域拡大が望まれる。

■産業技術

介護ロボット開発・導入の現状と課題 ―介護ロボットは超高齢社会を支える一翼を担えるか―

株式会社ニッセイ基礎研究所 社会研究部 准主任研究員 青山 正治

【要点】
(1)
介護ロボットとは新分野であるサービスロボットのうち、福祉・介護分野で活用される支援機器であり、各種介助の目的に応じてさまざまな姿・形をしている。
(2)
2013年度より経済産業省が5カ年計画で機器(ロボット介護機器)の開発支援を、厚生労働省が介護現場での実証試験や導入に必要な環境整備を分担し、両省が連携した支援事業が実施されてきている。
(3)
現在、4年が経過し「重点分野」という5分野8項目で複数の機器が開発・上市され、介護現場への政策的な介護ロボットの導入支援事業等も実施され、導入が進んでいる。
(4)
登場中の介護ロボットに対しては、介護現場には「使い方の開発(人員配置や業務フローの工夫等を含む)」が、開発企業には「継続した機器改良」が必要である。
(5)
需要(介護)サイドと供給(開発)サイド間にはさまざまな認識ギャップも存在するが、導入支援事業により介護関係者の利活用意識の高まりもあり、介護ロボット活用の好事例等の十分な情報提供と介護関係者が自ら「使い方の開発」を行うという意識喚起も必要である。
(6)
中長期的に「使える機器」が開発され、施設介護や在宅介護で対象者の「自立支援」を促進し、介護現場のさまざまな課題を改善する「新しい介護」の創出を期待したい。

 

事実の誤用:技術不正と間違いのからくり ―からくりの看破、企業文化とシステムの整備が組織を守る―

工学博士 株式会社東レ経営研究所 特別研究員 成戸 昌信

【要点】
(1)
企業(組織)の技術不正は厳にあってはならないが、代償(罰金・和解金・名声の低下)は巨大で企業の存立を危うくする。事実の誤用から不正や過誤につながるからくりがあり、この看破と防止が重要である。
(2)
不正の背景にはトップの圧力(短期視野の強圧、完全の強弁)があり、発生と対応には企業の品格が根強く表れる。予防に必要なのは高い見識・理念を核とする組織文化である。
(3)
技術不正は法規制やシステムの不備にも誘発される。適切な規制を含めて原理原則に基づいた信頼性保証システムが不正のからくりを封じる。技術不正と間違いをなくすことは組織の価値向上と競争力の強化につながる重要な課題である。

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■視点・論点

イノベーションを生み出す知られざる交渉術

EQパートナーズ株式会社 シニアコンサルタント・講師 株式会社フローワン代表取締役 若林 計志

イノベーションは交渉から生まれる イノベーションの重要性が叫ばれて久しい。あらゆる市場がレッドオーシャンに染まり、利益を出すのが難しくなっている現在、新しいバリューを訴求し、ブルーオーシャンで勝ちたい、という思いはどこでも同じだ。

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■マネジメント

【青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 シリーズ⑤】 コーポレート・ファイナンスのすすめ ―企業価値増大の方策―

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 教授 中里 宗敬

【要点】
(1)
日本の企業経営ではコーポレート・ファイナンスの考え方が十分に浸透していない。
(2)
企業の資金調達が間接金融から直接金融へシフトする中で、企業価値の増大を目的とするコーポレート・ファイナンスをもっと活用し、財務的意思決定を合理的に行うべきである。
(3)
グローバル環境下では、リスクを適切に取りつつ効率的に収益性を高める必要がある。意思決定の柔軟性を考慮したリアルオプションの活用は経営の効率化に有効である。

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[連載]わが国の無形の資源を活かす 第1回 「すり合わせ技術」でチーム力を高める ―風通しのよい職場でリーダーを輩出する仕事の進め方―

株式会社ロゴ 代表取締役社長 津曲 公二 株式会社ロゴ 代表取締役副社長 酒井 昌昭

【要点】
(1)
働き手不足の時代には、わが国固有のすり合わせ能力を発展させた「すり合わせ技術」が役立つ。
(2)
すり合わせ技術を組織的に活用するには、こだわりをもつリーダーの存在や組織の風通しの良さなど、協働のための重要な前提条件が欠かせない。
(3)
開発期間短縮などの目的で導入されたコンカレント・エンジニアリングやフロント・ローディングは所期の成果を出すために、すり合わせ技術の観点から見直すことをお勧めする。

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「午後の紅茶」ロングセラーの秘訣 ―女性マーケターの視点から―

キリンビバレッジ株式会社 マーケティング本部 マーケティング部 商品担当 主任(インタビュー当時のお役職) (現在:キリンビバレッジバリューベンダー株式会社 法人営業部 課長) 中井 章代 氏 取材・執筆 株式会社東レ経営研究所 経営センサー編集部 石川 裕子

【要点】
(1)
「ロングセラーのポイント」の一つ目は初めて「ペットボトルの紅茶」というカテゴリーを創造し、市場のパイオニアになったこと。「ファーストセラー」つまり、一番初めに市場に入ったところが強いということ。
(2)
二つ目は、低迷期にも、「時代に合った飲用価値の提案」をしている。紅茶というカテゴリーの中でのその時代に合う価値を探し続けたというところ。持っている紅茶の良さの中で時代に合うものを探していった。
(3)
三つ目は、いろいろなフレーバーができるという強みを生かして、紅茶カテゴリーにとどまらない、紅茶の飲用シーンの拡大をしてきたこと。
(4)
女性マーケティング担当者としては、仕事を長く続けていることで、大きな仕事を任されたり、自分が企画提案できるようになる。子育てと両立するため、効率的に業務を進める工夫もしている。ライフイベントがあってもキャリアは続けていきたい。

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■ダイバーシティ&ワークライフバランス

日本IBMのダイバーシティ戦略

日本アイ・ビー・エム株式会社 最高顧問 下野 雅承 氏 聞き手 株式会社東レ経営研究所 代表取締役社長 吉田 久仁彦 株式会社東レ経営研究所 ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部長 宮原 淳二

【要点】
(1)
日本IBMにおいては、ダイバーシティは人事戦略ではなく経営戦略であり人材の多様性こそがIBM自身とお客様とに多様な発想をもたらす基盤である。
(2)
1998年、日本IBMは"女性のさらなる活躍支援"を宣言し、リーダー・ポジションで活躍する女性を増やすことを目標に"Japan Women's Council(JWC)"の活動がスタート。女性社員自らの課題を分析し、解決策の提言を行う委員会。
(3)
LGBTや障がい者支援など、日本IBMではマイノリティーの能力の最大化を重視し、個々人の働きがいを支援している。

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■人材

人材育成の視点 電通過労自殺事件への考察 ―長時間労働を取り巻く社会環境の変化と企業の対応について―

株式会社東レ経営研究所 特別研究員・社会保険労務士 金子 安則

【要点】
(1)
女性新入社員の過労自殺により広告業界最大手の電通社長が辞任に追い込まれた背景には長時間労働をめぐる社会環境の大きな変化がある。
(2)
電通過労自殺事件を通じ社会環境の大きな変化をつかむことができるが、特に労働基準監督署(以下労基署)の監督強化の動きが顕著である。
(3)
電通過労自殺事件の原因を掘り下げてみると他企業にも共通するリスク・課題がある。
(4)
長時間労働の是正は、組織の効率運営・付加価値の高い業務へのシフトなど労働生産性を高める本質的な対策に取り組むべきである。

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■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード

「ムーアの法則」「GPU」

■ズーム・アイ

横着がイノベーションを生む

産業経済調査部 増田 貴司

「楽は苦の種、苦は楽の種」と昔の人は言いました。今の苦労は将来の楽につながるから、苦労をいとわず目の前の仕事に全力で取り組むべきという教えです。最近は価値観が変わってきたとはいえ、日本社会全体ではまだこうした教えが美徳として残っているようです。