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2017年12月18日
経営センサー12月号 2017 No.198

■今月のピックアップちゃーと

訪日客消費額、最高を更新 ~爆買いは一服するも、消費意欲高いリピーター~

■特別レポート

東レ経営研究所 MOT研修シリーズ(第28回) 「T-MOTエグゼクティブフォーラム(宮木塾)」例会 トランプ政権のアメリカと日米関係 コロンビア大学 名誉教授 ジェラルド・カーティス氏 講演抄録

コロンビア大学 政治学 名誉教授 ジェラルド・カーティス (株)東レ経営研究所 シニアリサーチフェロー MOTチーフディレクター ミヤキ(株) 代表取締役社長 元 東京農工大学大学院技術経営研究科 非常勤講師 宮木 宏尚

【要点】
(1)
トランプ政権を誕生させた第1の要因は、アメリカの行き過ぎた資本主義への反発であり、現体制への反発。それには、広がりすぎた経済格差と不平等、グローバリゼーションや移民の増加により職を奪われた、特に中西部の白人労働者層の不満などが大きい。これは、短時間では解決しない。
(2)
一方、本来労働者や中産階級など経済弱者の味方であり、リベラルを旗印にしていた民主党が変質し、リベラルの重点が経済的な意味合いから社会的な意味合い(アイデンティティ・ポリティクス)に移り、「リムジン・リベラル」といわれるように変質し、民主党が中産階級からの支持が得られなくなったことにある。
(3)
北朝鮮問題に関しては、制裁と同時に出口戦略を考えておくことが重要であり、この役割の一端を中国に期待する。軍事オプションは限りなく大きなダメージを双方に与える。
(4)
カーティス教授の門下生のように、海外で教育を受け、「世界や日本を外から見る目」を持ち、若い世代の気持ちを実感できる政治家が日本の政界で力を発揮できるようになり、日本の政治が変わっていくことを期待する

■世界情勢

中国経済の現状と党大会後の見通し

株式会社大和総研 主席研究員 経済調査部担当部長 齋藤 尚登

【要点】
(1)
「5年に一度の党大会が開催される年は、成長率が高くなる」というのは過去の話であり、2012年以降はそうした動きは観察されない。2018年は緩やかな景気減速へ。
(2)
景気は堅調な消費が支えている。消費にはここ数年で(1)ネット販売の急増、(2)消費のサービス化の進展、(3)農村消費の相対的な堅調、という大きな変化が生じている。
(3)
2期目の習近平政権は、力ずくで市場を抑え込むための「規制や監督・管理」の乱用を回避し、「漸進」的に市場に任せていくことが求められる。

■経済・産業

クルマの電動化を支える中核材料

株式会社三菱総合研究所 環境・エネルギー事業本部 次世代環境ビジネスグループ 主席研究員 田中 秀尚

【要点】
(1)
クルマの電動化を支える中核材料としては蓄電池やセンサー等の機能材料、軽量化のための車体構造材料などが重要である。
(2)
蓄電池については全固体電池やリチウム―硫黄電池などが、構造材料については各材料の特性向上に加えてマルチマテリアル技術等の開発も進化している。
(3)
電動化により自動車産業は大きな構造転換を迎えることとなるため、技術・社会の変化を先取りした新しいビジネスモデルを創造し、実践していくことが必要である。

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■業界展望

マザーマシンメーカーのIoT化対応で変わる企業間関係と再編可能性 ―受発注企業へのインタビュー調査の結果を踏まえて―

岩手県立大学総合政策学部 准教授 近藤 信一

【要点】
(1)
マザーマシンメーカー(半導体製造装置メーカーや工作機械メーカーなど)では、①IoT化対応機器の開発製造、②自社生産ラインのIoT化、の両面でIoT化を進めている。
(2)
IoT化によりマザーマシンメーカーの販売方法は「単品売り切り」から「従量課金制度」に変わることが予想される。従量課金制度で収益を上げるには、納入先のマザーマシンについて「故障などが原因の停止がない」ことが重要である。そのためには、マザーマシンメーカーに部材を納入するサプライヤー企業(下請中小企業)とのデータ連携による高品位なものづくり体制が必要となる。
(3)
部材の発注サイドであるマザーマシンメーカーは、受注サイドである部材サプライヤー企業にデータ連携を求めているが、連携するからには発注量を確保する必要があるのが課題である。一方、IoT対応を進めているサプライヤー企業は、発注サイドが部材の製造ノウハウを持っている場合、データ連携をすると加工方法や原価を知られる恐れがあると警戒している。
(4)
サプライヤー企業の競争力の源泉は、従来のQCD(品質、コスト、納期)から、①IoT化による生産管理能力、②その上で改善能力や付加価値のある技術力、となっていくだろう。

 

個別化医療と創薬

株式会社バイオシス・テクノロジーズ 取締役&チーフテクニカルオフィサー(CTO) 聖マリアンナ医科大学 分子病態情報研究講座 講師 中山 登

【要点】
(1)
最近の医薬品開発は以前の低分子創薬だけでなく多様化しているが、人の臨床試験までいく開発品の成功確率は減っている。
(2)
科学的に開発された医薬品だが、その薬を使う臨床現場は現症診断のため、その間には大きな谷があり、個別化医療が重要である。
(3)
個別化医療では臨床試料を用いた遺伝子やタンパク質の診断マーカー探索が重要で、その診断マーカーを医療や創薬に利用する。

■産業技術

日本の航空機産業の発展に向けた課題と取り組み

東京大学総括プロジェクト機構 特任教授(航空イノベーション総括寄付講座) 渋武 容 三菱重工業(株)民間機セグメント企画管理部 マネージング・エキスパート 伊藤 一彦 東京大学大学院工学系航空宇宙工学専攻 教授 鈴木 真二

【要点】
(1)
完成機事業は、ものづくりだけではなくライフサイクル全体にわたるサービスの提供であり、駅伝に例えられる息の長い事業である。
(2)
年々高度化する安全確保の要求に応えるため、機体や製品の市場化には、認証とそのためのノウハウ・試験が必須である。
(3)
完成機事業の実施は航空機産業の核となるノウハウの蓄積になり、ひいては装備品産業や他分野にも貢献する。
(4)
産学官が連携したシームレスな研究・開発と、実務に即した専門高度教育を行っていく体制等、対等に国際競争を行うための環境整備が望まれる。

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■人材

変貌する人事評価 ―パフォーマンスマネジメント変革の潮流―

エム・アイ・アソシエイツ株式会社 代表取締役社長 松丘 啓司

【要点】
(1)
年次評価(レーティング)を廃止するアメリカ企業がますます増えている。その目的はアジャイルなパフォーマンスマネジメントを実現することと、レーティングの弊害を取り除くことにある。
(2)
その一方で、日本企業は20年前に導入した成果主義人事の考え方から脱却できていない。不確実性の高い環境下でこれまでのマネジメント方法を継続しても、イノベーションは起こらず、成長の阻害要因となる。
(3)
上司と部下による1on1(ワンオンワン)の対話は取り組みやすい方法であり、HRテクノロジーも積極的に活用して、パフォーマンスマネジメントを有意義な体験へと変えていく必要がある。

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グローバルマインドセット ―海外で成果を挙げられる人に共通するもの―

株式会社HRインスティテュート 取締役 チーフコンサルタント 染谷 文香

1.事例:グローバル人材の「佐藤さん」と「広田さん」はどこが違うのか? 日本の人口は2050年には9,700万人になると推測されている。少子高齢化により労働人口が減少し、消費も減少する。BRICs1、Next112の顔ぶれを見てみると人口が多い国々が挙がっている。つまり、人がいるところに市場があり、市場があるところにさらに人やモノが集まるのは当然の流れなのである。日本企業はその流れに沿うように海外進出を加速させている。

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■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード

「カーボンナノチューブ」「異種材料接合」

■お薦め名著

『TED TALKS』スーパープレゼンを学ぶTED公式ガイド

クリス・アンダーソン 著 関 美和 訳

■ズーム・アイ

衝撃的な張り紙と注意事項が増えるワケ

ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部 塚越 学

先日、小学校の子どもイベント開催を前に、PTA執行部とおやじの会で懇親会を行うことになりました。大人だけでなく参加する子どもも多く、お店で大きな部屋を借りる予算もなかったため、地域のコミュニティセンターで行うことになりました。その大広間は低い長机と座布団が置いてあるような畳の座敷でした。早速子どもたちは楽しく遊び始め、親たちは乾杯して懇親会がスタート。その直後、私たちの話題をさらったのは大広間に貼ってある次のような張り紙です。