close

2011年4月1日
経営センサー4月号 2011 No.131

■特別レポート

ダイバーシティ、ワーク・ライフ・バランスの新潮流

渥美 由喜 ダイバーシティ&ワーク・ライフ・バランス研究部長

東レ経営研究所では、2010年10月13日、経団連会館にて、「日本社会・企業の進むべき道」と題して、2010 年度特別講演会を開催しました。 本号では、ダイバーシティ&ワーク・ライフ・バランス研究部長 渥美 由喜の講演をご紹介します。

PDF : 詳細(PDF:1,747KB)

 

日本の新エネルギー戦略を考える

東京大学 総長室アドバイザー 村沢 義久

【要点(Point)】
(1)2020 年までにCO2を25%、2050 年までに80% 削減という大目標達成のためには、新たなエネルギー戦略の策定が必要である。
(2)原子力発電は、「安全」と「安心」にかかわる対策を考えると、高コストとなり、大幅な増加は望めない。今回の地震・津波の被害の結果、新規建設は非常に難しくなる。
(3)従って、日本では、太陽光を中心とし、風力およびマイクロ水力も含めた自然エネルギーの最大活用が必須である。

■経済・産業

韓国の産官学一体の経済発展戦略と日本

久留米大学大学院ビジネス研究科 教授 永池 克明

【要点(Point)】
(1)韓国は既に2003 年頃から国家を挙げてグローバル戦略を進めており、EU や米国とのFTA の締結、海外インフラ市場獲得、海外新興市場への先行的取り組みなどの成果をあげつつある。
(2)最近韓国政府がまとめた「未来ビジョン2040」を見ると、ハブ機能の強化、企業や大学等での積極的海外人材の受け入れ、「無規制、無関税、無言語障壁」化などを唱っている。
(3)韓国に比べると、日本は周回遅れの感があり、さらに東日本大震災の影響が加わり、厳しい局面にある。

 

成長戦略として注目されるリバース・イノベーション戦略とは

福田 佳之 産業経済調査部 シニアエコノミスト

【要点(Point)】
(1)リバース・イノベーション戦略とは、機能がシンプルで低価格の製品を新興国で開発し、新興国国内だけでなく先進国にも事業展開する戦略を指す。GE 社のイメルト会長が最初に打ち出した。
(2)同戦略が注目される背景として、従来のグローカリゼーション戦略では、新興国で成長する中間層やBOP 層が取り込めない点と「破壊的イノベーション」で台頭する新興国企業に勝つことができない点の2 点がある。
(3)実際、GE 社は超音波画像診断装置や心電計の分野でリバース・イノベーション戦略を採用して成功を収めている。また、同戦略を採用する他の先進国企業も出てきている。
(4)ただ、リバース・イノベーション戦略を実施するには組織をこれまでの中央集権から分権的なものにしないと難しい。同戦略の実施には、経営者の強力な支援が必要である。
(5)日本では今のところ、リバース・イノベーション戦略を実施する企業は見当たらない。新興国の成長を取り込みながら、新興国企業に負けないために、日本企業は同戦略を採用し、経営改革を実施することが望まれる。

PDF : 詳細(PDF:1,530KB)

■産業技術

株式市場の視点・・・未だに2010 年問題を克服できない医薬品業界

クレディ・スイス証券株式会社 調査本部株式調査部 ディレクター 酒井 文義

【要点(Point)】
(1)株式市場が示唆する医薬品業界の問題点は、グローバルプレーヤー不在、新薬の開発リスク、薬価制度による規制業種、特許切れ問題、などである。これをいかに克服するかが課題。
(2)2010年問題への対応は後手に回った。ジェネリックとの攻防は2010 年以降も続く見通し。やはり新薬開発力の向上が鍵を握る。
(3)新薬創出加算の恒久化の是非や長期収載品の薬価引き下げなど制度リスクも要注意の段階に入る。医薬品業界のグローバル競争力の向上のためには制度面からの支援も不可欠である。

■視点・論点

大卒者の就職活動を3つの環境と条件から点検してみる

元・日本経済新聞社 論説副主幹 宮智 宗七

「同情」と「批判」が並行的に存在する“就活学生” いつの世でも、若もの世代、特に大学生は批判の対象になりやすいもののようだ。ここに2 つの文章がある。 〔1〕 學生の知能が低下していく傾向にあることは彼らの教育に従事している者の多くが気付いていることである。(中略)道徳の方面においても同じことが見られるのではないだろうか。 

■マネジメント

中国における貿易形態 -FTA の進展に伴うその形態変化にかかわる考察-

望月コンサルティング(上海)有限 公司パートナー 公認会計士 望月 一央

【要点(Point)】
(1)中国における貿易形態には、一般貿易、加工貿易、保税区等経由貿易があり、この中で加工貿易は重要な位置を占めてきていた。
(2)中国の貿易決済については厳格な外貨管理が行われているが、近年、保税区、クロスボーダー人民元決済等様々な制度も認められてきている。
(3)中国においては輸出についても付加価値税である増値税が課税されることから、これを回避するために保税区における取引、来料加工取引が頻繁に行われている。
(4)中国ではFTA への取り組みが進められており、今後、中国の貿易形態についても影響が与えられるものと予想される。

 

インドの実力 -人間開発報告書と無償義務教育権利法-

東京大学 名誉教授 中里 成章

【要点(Point)】
(1)インドの人間開発指数は低く、その改善のペースにおいても他国に後れをとっている。中国との比較では、全ての指標で大きな差をつけられている。
(2)インドの初等教育は植民地時代以来一貫して軽視され、憂うべき現状にある。
(3)2009年、初等教育を無償義務教育とする法律が制定され、翌2010 年に施行された。これを契機に初等教育が充実に向かうのか、注目される。

■人材

上級MOT 短期集中研修「戦略的技術マネジメント研修」について(第19 回) 全期同窓会 特別講演会 繊維ファッション産業のリード役が語る “異業種協業による顧客創造の歴史”

元 東レ(株)広報宣伝部長・鐘紡(株)代表取締役副社長 遠入 昇 氏 講演録 企   画:MOT チーフディレクター 宮木 宏尚 記録・写真:フリーランス・ライター 山崎 阿弥

【要点(Point)】
(1)戦後復興の牽引役となった合繊産業で培った技術は、炭素繊維、水浄化膜、液晶パネルやリチウムイオン電池の材料など 21 世紀を担うキーテクノロジーとして花開いた。その意味で、繊維産業はグリーンニューディールを担い未来を創造する礎を築いたといえる。
(2)グローバル化が進む中、日本企業は「現地化」が遅れている。「現地に溶け込む」サービス精神と匠の技で、もう一度世界をリードすべきである。
(3)商いの原点は「ほれ、ほれられる」。自分が売る商品に惚れ、その熱意をもって相手に伝えれば、相手も惚れこんでくれる。
(4)戦略は三カン(感、観、勘)に従う。感じたこと、見たこと、ひらめいたこと(勘)がつながった時、戦略が構築される。
(5)異業種協業は大きな顧客創造のチャンスを生む。限られた資金でも多くの企業が協業すれば、相乗効果を生み、社会変革をもたらすような効果もあげられる。
(6)現在の日本企業は権限委譲が遅れている。世界と戦うためには権限委譲により、早い決断、リスクにチャレンジする姿勢が求められる。
(7)現在の世界では、情報の共有化と武装化が勝敗を分ける。業界の情報を、小売-加工-素材が有機的に垂直連携で共有化し、正確なニーズのくみ取りや新しい商品やサービスを実現して行かなくてはならない。

PDF : 詳細(PDF:1,977KB)

■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード 

「フィード・イン・タリフ(固定価格買取制度)」「格安航空会社(LCC、ローコストキャリア)」

■お薦め名著

『リーダーシップに心理学を生かす』 -企業再生のリーダーシップのあるべき姿-

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部 編・訳

■ズーム・アイ

計画された偶発性

ダイバーシティ&ワーク・ライフ・バランス研究部 宮原 淳二

昨年12月末に(株)資生堂を退職し東レ経営研究所(以下TBR)に転職しました。私は資生堂時代、人事分野で多岐にわたる業務を経験しましたが、中でも注力したのが、ワーク・ライフ・バランス(以下WLB)の推進でした。自身で「育児休暇」を取得したり、「定時退社デーの推進」「子どもを会社に招待する日」の企画・運営などを実施していました。

■今月のピックアップちゃーと

こんなに頼っていて大丈夫?~原油の脱「中東依存」が急務~