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2017年5月26日
経営センサー5月号 2017 No.192

■今月のピックアップちゃーと

スマートフォン市場でも台頭する中国企業 ~安かろう悪かろうから脱皮中~

産業経済調査部門

■繊維産業シンポジウム講演抄録

新しい市場のつくりかた

専修大学 経営学部 准教授 三宅 秀道 氏

2017年3月3日に開催した繊維産業シンポジウム「北陸産地の新たな成長と産業競争力強化」(東レとの共催)における専修大学 准教授 三宅 秀道氏のご講演をご紹介します。なお、当日の講演内容のうち、東レ株式会社理事・自動車材料戦略推進室 石野 裕喜夫 室長の講演内容は『繊維トレンド』5・6月号で、株式会社三越伊勢丹 前代表取締役社長 大西 洋氏のご講演内容は『繊維トレンド』7・8月号で紹介の予定です。 はじめに 皆さん、こんにちは。専修大学の三宅です。私は専修大学でベンチャー企業論を中心に教鞭をとっております。本日はものづくりの中でも、商品開発における新しい市場の創造について、これはやや漠然とした、そして大きなテーマですが、私がこの間見聞きしてきた中小企業の成功事例をモデルとして紹介しながら、お話しさせていただこうと思います。

■経済・産業

油価下落でも生産減らないシェールオイル ―シェール革命と石油化学市場の動向―

産業経済調査部 シニアエコノミスト 福田 佳之

【要点】
(1)
2017年1月からOPECなど産油国は減産している(減産規模は日量130~140万バレル)。順守率は8割程度と高く、これを受けて原油市場の需給均衡(リバランス)は早まると見られる
(2)
原油価格が40ドル台後半から50ドル台前半の間で安定推移している背景には、膨大な石油在庫とシェールオイル増産観測がある。
(3)
シェールオイルの開発・生産コストは低下している。しかし、減退率も大きいため、ノースダコタ州のバッケンやテキサス州のイーグルフォードの産地では原油生産を増やすことができない。一方、低コストで採掘できるテキサス州のパーミアンでは2014年後半からの油価低迷期でも原油生産を増やすことができた。その結果、これまでの米国のシェールオイルの減産規模は日量80万バレル程度にとどまり、油価低下でも原油生産は大きく減らなかった。
(4)
シェール革命で随伴生産されるエタンを使った石油化学プラントの建設が進んでおり、2020年までに900万トン超のエチレンが生産される見込みである。エタンを原料にしたエチレンおよびエチレン誘導品のコスト競争力はナフサ由来のものに比べて依然として高い。
(5)
米国で生産されたポリエチレンなどエチレン誘導品は、米国内、中南米、そして中国で消費され、日本国内には入ってこない可能性が高い。ただし日本のエチレン誘導品の中国向け輸出は厳しくなるだろう。

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■アジア・新興国

崔順実ゲート後のサムスンと韓国経済 ―政治スキャンダル、反財閥感情、所得格差、そして韓国経済の行方―

亜細亜大学 アジア研究所 教授 奥田 聡

【要点】
(1)
韓国各財閥は支配継承に頭を痛める。サムスンも企業合併による継承を狙ったが、崔順実ゲートでトップが逮捕される。
(2)
大統領・財閥に厳しい視線を向ける世論。その背景にあるのは経済格差、階層固定、低成長などによる絶望感。
(3)
直近ではサムスンの業績悪化はないが、中長期的影響は避けがたい。今年の経済成長は不振だった昨年を下回りそう。

■業界展望

化学会社からライフサイエンス会社に完全に脱皮したバイエル

日本化学会フェロー 田島 慶三

【要点】
(1)
バイエルは創業以来150年余を経過した。その間に合成染料、医薬品、高分子分野で数多くの金字塔を建ててきた名門化学会社である。
(2)
2000年代前半からライフサイエンス志向を明確にしてきたが、2015年から完全なライフサイエンス会社への脱皮を開始した。
(3)
2016年のM&Aにより世界最大のアグリビジネス会社となる。しかし医療用医薬品事業の成長力の低さに一抹の不安がある。

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■視点・論点

中国ビジネスの転換 ―今、何をなすべきか?―

浦上アジア経営研究所 代表 浦上 清

はじめに アジアがグローバリゼーションのなかで中心的役割を果たすアジアの時代に、的確でタイムリーな経営戦略の策定と実行を行うことが企業成長の死命を制する時代に入っている。とりわけ、アジアビジネスの中核を占める中国ビジネスの戦略的転換を図ることは今、企業にとって最重要課題のひとつである。世界の企業は中国ビジネスの強化を目指し経営資源を投入している。中国事業における戦略的なターゲットは、言うまでもなく、中国市場における販売・サービスである

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■マネジメント

【青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 シリーズ⑥】 バブル崩壊後の競争優位 ―競合による模倣と顧客の要求水準の観点から―

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 教授 澤田 直宏

【要点】
(1)
バブル崩壊後四半世紀の間に、家電や電子デバイス系が競争劣位に陥ったのは模倣の容易さや産業内での分業の進展に由来する。
(2)
自動車や化学、製薬など模倣が難しく、かつ、分業度に進展がなかった産業では、市場地位の大幅変動は生じていない。
(3)
企業は模倣が難しい技術分野へのシフトや垂直統合から分業への移行と事業の絞り込み、顧客の要求水準が高い分野への集中が必要である。

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[連載]第3回(最終回)(全3回) イノベーション創出の要件について考える ―創造力と活力ある人・組織・風土づくりを―

一般社団法人 企業研究会 顧問・MOT研究室長 浦川 卓也

【要点】
(1)
前2回にわたり、イノベーション創出の主要件について考えてきた。だが、イノベーションの主役はやはり人。新しい社会的価値を構想する人と具体的なアイデアを発想する創発人材である。
(2)
90年代における米国イノベーションの成功要因分析によれば、“真のイノベーション”には、曖昧な状態を「意味のある形」にする異質な人々の交流の場が必須といわれる。
(3)
CTO(最高技術責任者)の役割は、新商品・新事業へのビジョン・構想づくり、社内外技術の統合とオープン・イノベーションの実践、イノベーション・リスクの克服と事業化にある。

■人材

人材育成の視点 マネジメント行動の実際と課題 ―新任課長の声から―

人材開発部 シニアコンサルタント 福田 貴一

【要点】
(1)
新任課長のマネジメント行動(計画・指令・統制・調整)の実践に影響している事柄を、アンケートから探った。
(2)
その中で見えてきたのは、新任課長の「上司および関係先への適応」「実務への適応」「役割への適応」という三つの適応課題であった。
(3)
それら課題の克服には、新任課長本人の意識や行動の変革を求める一方、組織的な対応も求められる

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■経済用語解説

ちょっと教えて!現代のキーワード

「統合型リゾート(IR)」「スロー・トレード」

■お薦め名著

増補版『なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?』 ─日本人が知らない本当の世界経済の授業─

松村 嘉浩 著

■ズーム・アイ

中小企業経営者の『婚活』が事業継続のカギに!

ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部 宮原 淳二

先日、東京都が主催する婚活イベント『縁結日2017』(2017年3月4日開催)に、パネルディスカッションのコーディネーターとして参加した。小池都知事の強いリーダーシップのもと今年はじめて開催された。少子化が進行している東京では、待機児童解消等の子育て支援策の拡充も重要であるが、その前にまず結婚対策であろう、という意図がある。