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2013年12月1日
改札あれこれ ~海外編~
チーフアナリスト
永井 知美

 海外旅行の楽しみといえば名所旧跡巡り、グルメ、アウトドア体験、いろいろあるでしょうが、私が楽しみにしているのは地元密着型スーパーでの買い物と電車に乗ることです。スーパーでの発見(ロシアのウオッカの品ぞろえはすごい!しかも妙に安い。人心掌握のためか?)を語るのは別の機会に譲るとして、ここでは、改札で見た印象に残る風景をご紹介したいと思います。  まずはおフランス。辛口になるのでフランスびいきの方にはご容赦いただきたいと思いますが、パリのメトロには驚きました。公平を期すために、まず長所を挙げるとすれば、①路線が発達している、②均一料金で回数券もあるので旅行者も利用しやすいなどですが、とにかく通路が暗くて汚く、物乞いや大道芸人がひしめいていて、小心者の私にはつらいものがありました。改札が頑丈なバーで仕切られているにもかかわらず、毎日数名の若者がバーを乗り越えて無賃乗車していたこと、運転手のお兄さんが、Tシャツ(どくろの図柄)にジーンズという大変くだけた格好でやる気なさげに運転していた姿も心に残りました。  隣国でありながら正反対だったのがドイツです。 フランクフルトには地下鉄と近郊鉄道がありますが、何と改札がありません。謹厳実直のお国柄そのままに、皆さん粛々と切符を買って乗車されます。電車内には「きちんと切符を買うこと。無賃乗車発見の際は罰金を科す。いかなる言い訳も許さない」という警告文がドイツ語・英語で掲示されており、かなりの頻度で検札されるようです。ドイツでは高速鉄道でも改札がなく、ミュンヘンでは駅構内に入ると、いきなりICE(Intercity-Express の略。ドイツを中心に運行される欧州の高速鉄道)が止まっていました。東京駅から改札を取り去り、人が勝手に往来する中に新幹線が停車しているようなもので、結構シュールです。  5年ほど前の話ですから状況が変わったかもしれませんが、インパクトという点では、上海の地下鉄に触れないわけにはいきません。上海の地下鉄は最新式で車両もぴかぴか。ただ、乗客のマナーは発展途上のようで、改札を飛び越える人(切符を入れると改札の扉が開くのですが、その一瞬が待てないようでした)、切符の買い方が分からず改札手前で茫然自失の態の大荷物のおのぼりさん親子と、さまざまな人間模様が見られるのですが、圧巻は電車の乗降でした。日本では降りる人を待って乗車するのが常識ですが、上海では電車が到着すると、乗る人は何としてでも空席を確保しようと乗降口に押し寄せ、降りる人はここで降りなければと血相を変えて降りようとして、停車のたびに壮絶なおしくらまんじゅうが繰り広げられます。あれほどの気迫と体力を必要とする電車はいまだ経験しておりません。  電車に乗って意外な一面を発見することもあります。お正月に訪れたバンコクでは、電車に乗るとタイ人乗客のほとんどがスマホを持っていました。私はガラケー。帰国して急いでスマホに買い換えたのは言うまでもありません。  電車ではその土地の素顔を垣間見ることができます。私は鉄子ではありませんが、これからも世界の電車にトライしていきたいと思っています。