close

2014年3月5日
東レ株式会社
ナノファイバーの革新的製造技術を開発
~ 新たな高付加価値化技術 衣料用から産業資材用途までの応用に期待 ~

 東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣)はこのたび、繊維の断面形態をナノメートルオーダーで任意に制御することで、様々な原料樹脂を自在に複合させることができる革新的な合成繊維製造技術の開発に成功しました。  今回開発したナノ断面制御技術を用いて作られる複合繊維の断面形態は無限の可能性があり、さらに、その形態の精度はナノメートルサイズでデザインが可能です。当社は、今後、この技術を用い、様々な高付加価値繊維製品を創出してまいります。  複合繊維とは、一本の繊維の長さ方向に複数の原料樹脂を配置した合成繊維です。これまで、複合繊維の形態としては芯鞘型、貼り合わせ型、海島型などが実用化され、種々の高付加価値繊維が生み出されてきました。しかしながら、形態を制御する紡糸口金の技術的な限界から、断面を任意にかつ高精度で設計することは困難でした。  今回、当社は複数の原料樹脂を極めて多数の微細な流れに分割し、精密に計量しつつ分配した後、この多数の流れを一気に吐出、合流させるタイプの画期的な紡糸口金を開発しました。さらに、この方法を用いれば溶融粘度の異なる様々な原料樹脂を自在に複合繊維とすることができます。   例えば、一般的なマイクロファイバーやナノファイバーは、海島型複合繊維の海成分に溶解しやすい樹脂を用い、後から海成分を溶解除去することにより製造できますが、今回開発したナノ断面制御技術を適用することで、溶出加工性の改善や異形断面繊維の製造が可能となり新たな機能性繊維を創出することができます。  また、このナノ断面制御技術では原料樹脂は2種に限定されず、3種以上の樹脂の使用も可能です。これにより、貼り合わせ型断面をもったナノファイバーや混繊型のナノファイバーを製造することが可能となり、これまでのナノファイバーでは困難であったソフト性とかさ高性、ストレッチ性を持った風合いを繊維に与えることが可能となります。  さらに、ナノ断面制御技術を用いた繊維は、長繊維として織物や編物に加工することや、所望の長さにカットした短繊維として紡績糸や不織布などに適用できます。ナノ断面制御技術を用いた複合繊維の断面は高精度に制御されているため、繊維の切断や脱落がなく、かつ加工後の製品の品質を安定させることができます。  当社は今回開発したナノ断面制御技術を用いた超極細繊維の生産を既に開始しています。また、このナノ断面制御技術を用いた新規ナノファイバーの早期の上市をめざし開発を強化していく予定です。  当社は、今回開発したナノ断面制御技術を活用し、機能性を生かした快適衣料やスポーツ衣料などの高機能アパレルをはじめ、フィルター材料や医療材料といった高性能産業資材用途など、環境・水・エネルギー、情報通信・エレクトロニクス、自動車、ライフサイエンスなど幅広い領域において、優れた機能を発揮する先端材料を開発・展開していきます。  今回開発したナノ断面制御技術の詳細は次の通りです。



1.ナノ断面制御技術の詳細
 今回開発したナノ断面制御技術で使用する紡糸口金を図1、2に示します。
 口金上部から流入する複数種の原料樹脂は、図1のように分配板内部で極めて多数の微細な流れに分割、精密計量され、分配板の吐出孔から一気に吐出しま す。分配板の吐出側の面の一例を示す図2のように、複数種の原料が設計された吐出孔から吐出し、ひとつの吐出孔群全体が合流して、最終吐出孔から糸状に押 し出されます。分配板の吐出孔の配列設計により、様々の複合繊維形態が可能となります。

図1 ナノ断面制御用複合口金の概略断面図

図1 ナノ断面制御用複合口金の概略断面図

図2 図1のx-x矢視図

図2 図1のx-x矢視図

2.ナノ断面制御技術の活用例
 表1は、当社が開発を進めるナノ断面制御技術を駆使した様々の合成繊維の海島複合型繊維の一例ですが、いずれの複合繊維の断面形態も、従来技術では製造 困難なものです。表2の拡大写真は、このうち、島成分が貼り合わせ型の海島複合繊維から得られるナノファイバー織物の写真です。この織物は、従来にないソ フト性とかさ高性、ストレッチ性を持ち、快適衣料やスポーツ衣料、あるいは産業資材用途に優れた特性を発揮することが期待されます。

表1 ナノ断面制御技術を用いた海島複合型繊維

表1 ナノ断面制御技術を用いた海島複合型繊維

表2 貼り合わせ型ナノファイバー織物の3D画像

表2 貼り合わせ型ナノファイバー織物の3D画像


以上